これは RuntimeRevolution 1.1.1 のヘルプにある文書を邦訳したものです。この文書の文責はUDIにあり、またUDIはこの文書についての一切の債務を負いません。 間違いがありましたら eudio@chabashira.co.jp までお知らせ下さい。この文書は必要と思われる時に適宜アップデートされます。

Help -> Tutorials -> Getting Started


1. Before you start
チュートリアルを始める前に

 このチュートリアルを始める前に、メニューの使い方、ファイルのオープンと保存、マルチウィンドウやボタンの扱い方など、コンピュータの扱いに慣れていなければならない。もしあなたがプラットフォームに慣れていないなら、このチュートリアルを効果的に使うために、まずオペレーティングシステムのドキュメントを読みなさい。

 ティップス:知らない用語が出てきたらマウスポインタをそこに当てなさい。もし用語の色が変わったら、それをクリックして用語集を参照することが出来る。(閉じるには再度クリックする)

 このチュートリアルは各ステップを理解しながら進んでいく方式である。各ステップが終わったら、画面下にある右向き矢印ボタンをクリックするか、Enter キーを押して次のステップに進みなさい。キーボードの矢印キーを使って各ステップを移動することも出来る。


2. About this tutorial
このチュートリアルについて。

 このチュートリアルでは、Revolution でアプリケーションを作って配布する基本的な方法を学ぶ。

 ここでは Revolution のインタフェースの基本を学ぶために、最も一般的なツールとその特徴を紹介する。あなたはほんの数分でスタンドアローン・アプリケーションを作ることが出来るだろう。

 伝統的なソフトウェア開発ツールでは、まずスクリーンに "Hello World" を表示させる練習から始める。もちろん同じ事をしてもいいが、Revolution ならもうちょっと気の利いたテキスト表示が出来る。このあとのチュートリアルでは、この練習問題を拡張し、ジオメトリーマネージャ(Geometry Manager)、アニメーションマネージャ(Animation Manager)などのパワフルなマネージャを使った、Revolution のパワフルな機能を紹介する。


3. Creating a new stack
新しいスタックを作る

 Revolution のソフトウェアを作るには、まずスタックを作る。新しいプログラム作りはいつでもスタック作りから始める。

 スタックオブジェクトはウィンドウであり、そこにはアプリケーションを構成する様々なオブジェクトが含まれている。各スタックはひとつ、或いは複数のカードを含み、その独立したパネルには、ボタン、フィールド、グラフィックなどのオブジェクトをそれぞれ含ませることが出来る。ボタンやカードなどのオブジェクトと同じように、スタックはそれ自身のスクリプトとプロパティを持っている。このチュートリアルでは普通の編集可能なウィンドウを作る。しかしスタックは編集可能ウィンドウとしても、パレットとしても、ダイアログボックスやメニューとしても表示することが出来る。

 新しいスタックを作るには File メニューから "New Mainstack" を実行する。これで新しいウィンドウが現れる。新しいスタックはひとつのカードを持っており、そのウィンドウエリアにオブジェクトを置くことが出来る。


4. Using the Properties palette
プロパティパレットを使う

 スタックを作ったので、これに名前を付けてみよう。

 スタックの名前はそのスタックのプロパティである。 Revolution ではオブジェクトのプロパティをプロパティパレットを使って編集することが出来る。ここで Revolution のスクリプト言語である Transcript で書かれたスクリプトをセットすることも出来る。さあ、プロパティパレットを使って、新しいスタックのプロパティを書き換えてみよう。

 プロパティパレットを開くには、Object メニューから "Stack Properties" を実行する。プロパティパレットがひとつ開き、Name ボックスにはスタックのデフォルト名( "Untitled 1" )が見るだろう。ボックスのテキストを選択して名前を "Hello World" に変え、Return キーを押して名前をセットする。


5. Saving your stack
スタックを保存する

 次の機能に移る前に、このスタックを保存しておくのは良いアイディアである。こうすれば何かで失敗した時に、保存しておいた前のバージョンに戻ることが出来る。

 スタックを保存するには、File メニューから "Save" を実行する。ファイルダイアログが現れて、ファイル名とその場所を指定することが出来る。名前を "HelloWorld.rev" として、Save ボタンをクリックしなさい。

 ティップス: 見てきたように、保存するファイルには名前が必要だが、スタックには必ずしも名前は必要ではない。これは Revolution ファイルが複数のスタックを含めることが出来るためである。(ただしこのチュートリアルではファイルにひとつのスタックしか作らない)


6. Creating a field object
フィールドオブジェクトを作る

 "Hello World" をスタックに表示するには、まずテキストを入れるオブジェクトを置かなければならない。 Revolution ではテキストの入れ物をフィールドと呼ぶ。

 新しいフィールドを作るには、Tools パレットの Field ツールをクリックする。(もし Tools パレットが表示されていなければ、Tools メニューの "Tools Palette" を実行しなさい) Field ツールは Tools パレットの上から4番目の左側にある。

 このツールはお絵かきソフトのように扱う。 Field ツールを選択して、スタックウィンドウをクリックし、5センチほどマウスをドラッグする。マウスボタンを離すと新しいフィールドが現れ、カーソルは Pointer ツール(矢印の形)になる。


7. Setting field properties
フィールドプロパティの設定

 Properties パレットを開くと、スタックのプロパティが現れる。しかしあなたがオブジェクトを選択すると、Properties パレットはそのオブジェクトのプロパティに切り替わる。

 新しいフィールドを作った時は、それが自動的に選択された状態になる。だから Properties パレットは現在フィールドのプロパティを編集できる状態にある。

 Properties パレットでフィールドの名前を "My Field" としなさい。

 ついでにフィールドの外見を決めるプロパティをいくつかセットしよう。 "Opaque"、"3-D"、そして "Show Border" のチェックボックスのチェックを外す。これでフィールドは透明になり、テキスト部分だけが見えるようになる。次は、テキストの入力を試す...


8. Exploring field behaviors
フィールドの動作を探検する

 新しいフィールドを試すために、Tools パレットからブラウズ( Browse )ツールを選択する。(ブラウズツールは手の形をしたアイコンで、Tools パレットの左上にある) これによってオブジェクトの選択状態が解除される。オブジェクトが何も選択されていない時は、Properties パレットは畳み込まれ、タイトルバーだけになる。

 ブラウズツールを選択してマウスポインタをフィールドの上に移動する。ポインタがフィールド上にあるあいだカーソルは I ビームに変わり、テキストを編集出来る状態であることを示す。フィールドをクリックして "Hello World" をタイプしなさい。

 Revolution のフィールドは、ワードプロセッサのように cut、copy、paste text を実行することが出来る。これらの基本動作は Revolution が自動的に行うため、あなたはそのアプリケーション独自の機能に集中することが出来る。さぁ、これらを使って始めよう...


9. Selecting a field
フィールドの選択

 新しいフィールドでは、テキストの属性は自動的に現在のオペレーションシステムの設定に従う。しかしKのチュートリアルではもうちょっと面白いことをしよう。つまりフィールドのテキストフォントとサイズプロパティを変えてみる。

 フィールドを選択するには、Tools パレットから Pointer ツールに持ち変える。( Pointer ツールは Tools パレット右上の矢印アイコンである)

 Pointer ツールでフィールドをクリックすると、そのフィールドを選択する。

 フィールドが選択されたら、Object メニューから "Text" を選ぶ。これによって、Revolution のほとんどのオブジェクトのテキスト属性を編集出来る Text パレットが開く。


10. Setting text attributes
テキスト属性を編集する

 Text パレットの "Text Font" と書かれたメニューから、好きなフォントを選ぶ。それから、その下にある "Text Size" メニューから、24 ポイントなどのサイズを選ぶ。そして Text パレットを閉じるか、邪魔にならないところに移動する。

 ティップス: Text メニューの Font、Size サブメニューからテキストの属性を選ぶことも出来る。これらのメニューアイテムも試してみなさい。

 フィールドのテキスト属性のセットが済んだら、それをユーザーが変更してしまわないように、ロックすることが出来る。フィールドをロックするには、まず Pointer ツールでフィールドを選択する。 Properties パレットの左側にある Field タブをクリックして、"Lock Text" チェックボックスにチェックを入れなさい。これでフィールドのテキストはロックされ、フィールドのテキストは表示されるが編集出来ない状態になる。(もし後でテキストを変更したくなったら、チェックボックスをオフにすればよい)


11. Resizing the field
フィールドのリサイズ

 テキストをタイプしてテキストフォントやテキストサイズを変更していると、フィールドが大きすぎたり小さすぎたりすることがある。そういう時、フィールドの大きさを変更したいと考える。

 フィールドを選択した時、フィールドの各コーナーと各辺の真ん中に小さい四角の "ハンドラ" があったのに気付いたろうか。これらのハンドラをドローソフトのようにドラッグすることで、フィールドの大きさを変えることが出来る。

 フィールドのコーナーハンドルをクリックして、テキストが丁度収まる大きさになるまでドラッグしなさい。

 ティップス: Properties パレットの Height、Width、の各ボックスの左にある "Set to formatted" と呼ばれる小さな矢印ボタンを使うと、フィールドのサイズを素早くテキストにフィットさせることが出来る。結果が好みに合わなかったら、ハンドラを使ってサイズを調整しなさい。


12. Creating a graphic object
グラフィックオブジェクトを作る

 あなたの使えるオブジェクトはフィールドだけではない。 Revolution は更にいくつかのオブジェクトタイプをサポートする。このチュートリアルでは、ボタンとグラフィックスを扱ってみる。

 スタックにグラフィックオブジェクトを追加するには、Tools パレットから Oval ツールを選択する。( Oval ツールは Tools パレットの右側の下から5番目にある) Field ツールで行ったと同じように、スタックウィンドウでマウスポインタをドラッグしてオブジェクトを作る。フィールドを被うような大きなグラフィックを作りなさい。

 ティップス: もし真円のグラフィックを作りたいなら、Shift キーを押しながらドラッグしなさい。 Shift キーはオブジェクトの縦横のサイズを強制的に同じにする。


13. Setting graphic properties
グラフィックのプロパティを設定する

 新しいグラフィックを作ると自動的に選択状態になり、Properties パレットはグラフィックのプロパティを編集できる状態になる。 Properties パレットで名前を "My World" に変えなさい。

 Revolution のウィンドウにある各オブジェクトは、それぞれのレイヤーの中に存在する。オブジェクトが他のオブジェクトに重なった時は、どちらが上になるかをそのレイヤーが決定する。新しいオブジェクトを作るとそれは一番手前のレイヤーに置かれ、他のオブジェクトよりも上になる。

 oval グラフィックをフィールドよりも後ろにするには、Properties パレットにある、オブジェクトレイヤーを整えるボタンを使う。 oval グラフィックを選択して、Properties パレットの Layer ボックスの下にある Send to Back アイコン(一番左にある矢印アイコン)をクリックすれば、グラフィックはフィールドの後ろに移動する。


14. Setting colors and patterns
カラーとパターンを設定する

 Revolution のオブジェクトのカラープロパティは Colors パレットで変更することが出来る。先ほどの oval グラフィックを "world" (世界)にするために、これを青くしてみよう。

 グラフィックを選択して、Object メニューの "Colors and Patterns" を選ぶ。

 Revolution のオブジェクトにはいくつかのカラープロパティがあり、それぞれがオブジェクト様々な外見を決定する。これらのプロパティは Colors パレットの下の方にリストアップされている。グラフィックのカラーを変えるためには、まず "Background Color" をクリックして、パレット内にあるタイルのひとつをクリックする。するとグラフィックはあなたの選んだカラーで塗りつぶされる。

 ティップス: カラーのセットが済んだら、作業スペースを空けるために Colors パレットを閉じても良い。


15. Creating a button object
ボタンオブジェクトを作る

 Revolution は多くの種類のボタンをサポートする。例えばオンオフをコントロールするためのチェックボックス、複数のオプションから選択するためのラジオボタン、そして普通の動作をする標準ボタン。ここでは標準ボタンを使って、シンプルなアニメーションをさせてみる。

 ボタンを作るには、Tools パレットから Button ツールを選択する。( Button ツールは Tools パレットの左側、上から2番目にある) Field ツールや Oval ツールを使った時と同じように、スタックウィンドウでクリックしてドラッグする。スタックウィンドウの左の下のほうにボタンを作ろう。


16. Setting button properties
ボタンプロパティの設定

 ボタンがひとつ作られ、Properties パレットが新しいボタンのプロパティを編集出来る状態になったことに気付いたろう。

 Revolution の多くのオブジェクトは、名前(name)とラベル(label)を持っている。これは、スクリプトからオブジェクトを参照するための名前を、ユーザーに見せるためのラベル文字列とは無関係に使えることを意味する。例えばユーザーのために長いラベル文字列を使ったとしても、スクリプトで参照する名前を短いもので済ますことが出来る。

 Properties パレットで name を "start" にセットし、label を "Show me!" にする。

 作業を保存するのにはいいタイミングである。 File メニューから Save を選び、チュートリアルスタックの変更を保存しなさい。


17. Introduction to scripting
スクリプティングのために

 ユーザーが何かのアクション −例えばマウスをクリックした、キーボードのキーを押した− を起こすと、Revolution はそのアクションのターゲットとなるオブジェクトにメッセージを送る。 Revolution も、ある種のイベント −例えばスタックのオープンやクローズ− が起きた時にメッセージを送る。

 スクリプトは、様々なメッセージに対応して、Revolution にどんなことをして欲しいかを伝えるためのものである。このチュートリアルでは、ユーザーが "Show Me!" ボタンをクリックした時に、スクリーンの外にあったフィールドをスタックウィンドウの中央に移動する、と言うスクリプトをボタンに書く。

 ボタンのスクリプトを開くには、Pointer ツールでボタンを選択し、Properties パレットの Script タブをクリックする。これでスクリプトエディタが開く。


18. Using the Script Editor
スクリプトエディタを使う

スクリプトエディタはオブジェクトのスクリプトを書くためのものである。スクリプトエディタにこのように入力しなさい:

on mouseUp
  show graphic "My World" with visual effect dissolve
  move field "My Field" to the location of this card
end mouseUp
 ティップス: このチュートリアルウィンドウからテキストをコピーするには、Option キー( MacOS システム)、Meta キー( Unix )または Alt キー( Windows )を押しながらテキストを選択する。マウスボタンを離すとテキストが自動的にクリップボードにコピーされる。

 スクリプトを書き終えたらスクリプトエディタの下にある "Apply" ボタンを押して、ボタンスクリプトをセットする。

 これは単純なスクリプトであるが、Revolution におけるスクリプティングの要点を示している。各行で何が起こっているかを見てみよう...


19. The button script, line by line
ボタンスクリプトを調べる
on mouseUp
  show graphic "My World" with visual effect dissolve
  move field "My Field" to the location of this card
end mouseUp
 最初の行はハンドラのスタートである。この部分は特定のメッセージに対応する。この行は、このスクリプトがどんなメッセージに対するレスポンスであるのかを、Revolution に教える役割を果たす。


 mouseUp メッセージはユーザーがオブジェクトの中をクリックした時に送られて来る。

 ティップス: このチュートリアルでは Transcript スクリプト言語のキーワードは強調文字で表される。キーワードをクリックすれば、これらのキーワードをスクリプト中でどのように使うかの情報を見ることが出来る。


20. The button script, line by line
ボタンスクリプトを調べる
on mouseUp
  show graphic "My World" with visual effect dissolve
  move field "My Field" to the location of this card
end mouseUp
 2番目の行は oval グラフィックをじわりと(dissolving)表示させている。

 show コマンドと hide コマンドはオブジェクトの可視状態を変える。ここで使った dissolve effect のように、これらのコマンドには多くのビジュアルエフェクトが用意されている。

 ティップス: スクリプトにオブジェクト名を書くときはストレートクォート記号(")で囲いなさい。アポストロフィ(')やカーブクォート記号(メモ)(訳注:日本語フォントでは半角カナの「メモ」に化けます)は使ってはいけない。


21. The button script, line by line
ボタンスクリプトを調べる
on mouseUp
  show graphic "My World" with visual effect dissolve
  move field "My Field" to the location of this card
end mouseUp
 location プロパティはオブジェクトのセンターの位置を示す。3番目の行では、move コマンドを使ってフィールドをカードの中央に移動させている。


22. The button script, line by line
ボタンスクリプトを調べる
on mouseUp
  show graphic "My World" with visual effect dissolve
  move field "My Field" to the location of this card
end mouseUp
 最後の行はハンドラの終わりである。この行は、このオブジェクトには mouseUp メッセージに対応する命令がもう無いことを Revolution に教える。

 ティップス: スクリプトエディタを隠して Properties パレットを本来の大きさに戻すために、Basic タブをクリックしなさい。


23. Testing your script
スクリプトをテストする

 書き終わったスクリプトをテストしてみよう。

 スクリプトは隠したグラフィックを表示するようになっているので、まずグラフィックを隠してみる。 Pointer ツールを選んで、oval グラフィックを選択する。Properties パレットの Basic タブをクリックして、グラフィックの Basic プロパティを表示させ、"Visible" と書かれたチェックボックスのチェックをオフにすると、グラフィックが見えなくなる。グラフィックはスタックに存在しているが、Revolution はそれを表示しない。

 スクリプトを動かすために、Tools パレットから Browse ツールを選び、ボタンをクリックする。すると、グラフィックがじわっと(dissolve)スタックウィンドウの中央に現れる。(もし現れたのが中央でなかった場合は Pointer ツールで中央に移動しなさい)


24. Adding a script to the card
カードにスクリプトを加える

 フィールドをウィンドウの中央に移動するスクリプトは出来たが、最初にフィールドをスクリーンの外に出しておくにはどうしたら良いだろう? そのためには、カードが表示される前に実行される、新しいスクリプトをカードオブジェクトに追加する。

 カードにスクリプトを追加するには、Object メニューから "Card Properties" を選ぶ。 Properties パレットはカードのプロパティを編集できる状態になる。 Properties パレットの Script タブをクリックして、スクリプトエディタを開き、このスクリプトをタイプしなさい:
on preOpenCard
  set the loc of field "My Field" to -100,-50
  hide graphic "My World"
end preOpenCard
 各行が何をしているか調べてみよう....


25. The card script, line by line
カードスクリプトを調べる
on preOpenCard
  set the loc of field "My Field" to -100,-50
  hide graphic "My World"
end preOpenCard
 最初の行は preOpenCard ハンドラで始まっている。この preOpenCard メッセージはカードをユーザーに見せる直前に、Revolution によってカードに送られて来る。

 ( openCard はカードが表示された後に送られて来るメッセージである。 preOpenCard メッセージはユーザーがカードのオブジェクトを見る前に送られて来る)


26. The card script, line by line
カードスクリプトを調べる
on preOpenCard
  set the loc of field "My Field" to -100,-50
  hide graphic "My World"
end preOpenCard
 2番目の行は location プロパティをセットしている。このプロパティは2つの値から成り、カンマで区切られている。 -100,-50 は、スタックウィンドウの左端よりも 100 ピクセル左、ウィンドウの上端より 50 ピクセル上を示している。

 ティップス: Transcript 言語では、"field" を示す "fld"、"button" を示す "btn"、"graphic" を示す "grc" など、よく使われる多くのキーワードに対して省略形を使うことが出来る。ここで使った "loc" は "location" の省略形である。


27. The card script, line by line
カードスクリプトを調べる
on preOpenCard
  set the loc of field "My Field" to -100,-50
  hide graphic "My World"
end preOpenCard
 3番目の行は、あとでユーザーが "Show Me!" ボタンをクリックした時にそれを表示させるために、oval グラフィックを隠している。


28. The card script, line by line
カードスクリプトを調べる
on preOpenCard
  set the loc of field "My Field" to -100,-50
  hide graphic "My World"
end preOpenCard
 最後の行はハンドラの最後であり、このオブジェクトには preOpenCard に対応するメッセージがもう無いことを Revolution に知らせている。


29. Adding a Reset button
リセットボタンを追加する

 ここまでに、簡単なアニメーションを表示させるためのボタンを作ったが、それをもう一度見るにはどうしたら良い? ここで、ユーザーがいつでもそれをオリジナルの状態に戻せるように、"Reset" ボタンを追加する。

 まずいつもと同じように、Button ツールを選び、スタックウィンドウでドラッグして新しいボタンを作り、マウスで "Show me!" ボタンの右に移動しなさい。

 Properties パレットで新しいボタンの名前を "Reset" にし、Script タブをクリックしてこのスクリプトを入れる:
on mouseUp
  send "preOpenCard" to this card
end mouseUp
 このハンドラが何をしているか、よく見てみよう...


30. Using the send command
send コマンドを使う
on mouseUp
  send "preOpenCard" to this card
end mouseUp
 通常、メッセージは、ユーザーが何かアクションを起こしたり、何かのイベントがあったときに自動的にオブジェクトに送られる。しかしここでは send コマンドを使ってメッセージを送ろうとしている。

 カードスクリプトには、必要な処理を全て書いた、preOpenCard ハンドラが既に存在する。グラフィックを隠し、フィールドを最初の位置に移動する命令をもう一度書く代わりに、preOpenCard メッセージをカードに送るだけで良い。

 カードは preOpenCard メッセージを受け取ると、preOpenCard ハンドラを実行して、オブジェクトをリセットする。


31. Testing your stack
スタックをテストする

 スタンドアローンをビルドするための全ての準備が整った。しかしその前に preOpenCard がちゃんと働くかをテストしなければならない。

 まず File メニューから "Save" を選択してスタックを保存する。次にスタックを閉じる。それから File メニューから "Open Stack..." を選び、ファイルダイアログから先ほどのスタックファイルを選択して、再度これを開く。

 スタックが開くと、そこには "Show Me!" と "Reset" オブジェクトしか見えない。フィールドとグラフィックは preOpenCard によって隠されている。

 "Show Me!" ボタンをクリックすると、まず oval グラフィックが dissolve 効果と共に現れ、フィールドがウィンドウの中央に移動して来る。もしこのようにならなかったら、前のステップに戻って、ボタンとカードのスクリプトが正しく入力されているか調べなさい。


32. Building your first application
初めてのアプリケーションをビルドする

 オブジェクトを作り、それらの挙動をコントロールするスクリプトを書き、テストした。これで配布可能なスタンドアローンアプリケーションをビルドする準備が整った。

 File メニューから "Build Distribution" を選択して、Distribution Builder ダイアログを表示する。

 Distribution Builder ダイアログでは、新しいアプリケーションがどのオペレーティングシステムで稼働するのかを、他のオプションと共に設定することが出来る。この手順に従って....


33. Setting application options
アプリケーションオプションを設定する

1. "Distribution name" と書かれたボックスに "Hello World" と入力する。

2. "Distribution Type" の下にある "Standalone" オプションを選択する。

3. "Platforms to distribute on" と書かれた部分で、現在使っているオペレーティングシステムにチェックを付ける。

 特別ボーナス: もし他のプラットホームも使える環境なら、そこにもチェックを入れなさい。そして "Auto download any required software" にチェックを入れれば、Revolution はそれらのプラットホームのエンジンを自動的にダウンロードする。(ダウンロードには数分かかる)

 あなたはサポートされるどの OS 上でも、サポートされる任意の OS 用のスタンドアローンを作ることが出来る。(唯一の例外として、MacOS 用のアプリケーションを作るには、MacOS 上で作業する必要がある) 驚くほど簡単でしょ?


34. Options for MacOS standalones
MacOS 用スタンドアローンのオプション

 MacOS システム用のスタンドアローンを作る時、"MacOS Options" タブをクリックして、"Creator Signature" と書かれたボックスに4文字のキャラクタを入れることが出来る。クリエータサイン(Creator Signature)は全ての MacOS 用アプリケーションが持っているもので、アプリケーションを区別するために使われる。

 ティップス: もしあなたが MacOS スタンドアローンアプリケーションを一般に配布したいと考えているなら、他のアプリケーションとの衝突を避けるために、ユニークな(固有の)クリエータサインを付けなければならない。アップルコンピュータは、あなたが使おうとしているクリエータサインが既に使われていないかを確認し、そのサインを登録する方法を提供している。クリエータサインと登録手続きの情報は <http://developer.apple.com/dev/cftype/faq.html> にある。(訳注:日本語の解説が <http://developer.apple.com/ja/macos/creator/> にあります)


35. Building the application
アプリケーションをビルドする

 最後に、Distribution Builder ウィンドウのトップにある Stacks タブをクリックする。 "Add Stack File..." ボタンをクリックして、現れたファイルダイアログで"HelloWorld.rev" スタックファイルを選択しなさい。

 全ての設定が終わったら、"Build Distribution" ボタンをクリックする。ダイアログボックスが現れるのでクリックして続ける。ビルド作業には数分かかる。ビルドが終わったら、あなたの選んだフォルダに新しいスタンドアローンアプリケーションが出来上がっているだろう。

 そう! たったこれだけで、あなたは Revolution を使った初めてのアプリケーションを作ることが出来た。


36. Congratulations!
おめでとう!

 あなたは、新しいスタックを作り、オブジェクトを加え、オブジェクトのスクリプトとプロパティを編集する方法と、それらをスタンドアローンアプリケーションに仕上げる方法を学んだ。

 Revolution の経験を少し積んだ今、どこで新しいことを学べば良いだろう。

 Revolution は深い。 Revolution を使って素早くデザインされ作成されるあなたのアプリケーションには、限界が無い。この惑星上の全てのモダンなコンピュータにあなたのアプリケーションを届けなさい。

 学習は更なるパワーを与える。 Revolution の豊かな環境が提供する何百もの機能を利用するには時間がかかるだろう。今すぐそれを学ぶ必要はない。これまで学んだことを使っていれば、あなたは間違いなく新しいものを発見する。

 Revolution を最大限に活用するための労を惜しまないなら、その学習を助けるためのステップがここにある....


37. Learning more
更に、学ぶ

Tutorials チュートリアル
 このチュートリアルに加えて、Revolution により深く親しむためのチュートリアルが他にもある。このウィンドウの下部にある "Tutorials" をクリックすれば、チュートリアルのリストを見ることが出来る。

Revolution Documentation ドキュメンテーション
 これは、Revolution の開発環境と、そのスクリプト言語(Transcript)のリファレンスである。あなたはこのチュートリアルにおいて既にいくつかの Transcript コマンドを使用したが、もっとたくさんのコマンドが存在する。 Transcript Dictionary とその他のドキュメントを通して読みなさい。今消費する時間は、将来あなたが Revolution を使って何かをしようとした時に助けになるだろう。

オンライン上の資源
 Runtime Revolution Limited は、メーリングリスト、サンプル、ツールの他に、貴重な資源を Revolution デベロッパーに提供する。これらの無料のツールを活用する方法を学ぶために、我々のサイト <http://www.runrev.com/> を訪問しなさい。

実験!
 恐らく最大の学習は、実際にそれをやってみることである。さあ、袖をまくって作ってみよう! 最初に何か小さいものを作りなさい。或いはチュートリアルの Employee Database スタックを拡張してもいい。それから野心的なプロジェクトにとりかかりなさい。あなたの夢のアプリケーションを作成するために、信頼とノウハウを築き上げよう!


邦訳/文責:UDI
2002.11.16
2003.01.12

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